「相続した実家、そろそろ売ろうと思っているけれど、税金がどのくらいかかるのか分からず不安……」と感じたことはありませんか。空き家を売却すると譲渡所得税がかかりますが、一定の要件を満たせば「相続空き家の3000万円特別控除」を使って税負担を大きく減らせる場合があります。ただしこの制度には期限があり、要件も細かく決められているため、知らないまま手続きを進めてしまうと「使えるはずだったのに間に合わなかった」ということにもなりかねません。この記事では、制度の正式な内容と要件、適用期限、そして2024年以降に変わったポイントまでを順番に整理して解説します。
この記事でわかること
- 相続した空き家を売却したときにかかる税金の基本的な仕組み
- 「相続空き家の3000万円特別控除」の正式名称と主な適用要件
- 制度を使える期限(売却期限・適用期限)
- 2024年1月以後の譲渡で変わった2つのポイント
- 売却までの間、空き家を良い状態で維持するための工夫
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相続した空き家を売ると、どんな税金がかかる?
空き家を含む不動産を売却して利益が出ると、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税・住民税がかかります。譲渡所得は「売却価格 ― (取得費+譲渡費用) ― 特別控除」で計算されるのが基本の考え方です。
相続した古い実家の場合、購入時の契約書が残っておらず取得費が分からないというケースも少なくありません。この場合は売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」で計算することになり、実際の取得費より低く見積もられて譲渡所得が大きくなりがちです。結果として税負担が重くなりやすいため、控除の特例を使えるかどうかが重要な分かれ道になります。
「相続空き家の3000万円特別控除」とは
この特例の正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」で、租税特別措置法第35条に定められています。国税庁の特例要件によると、一定の条件を満たして相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。控除額が大きいため、対象になるかどうかで納税額が数百万円単位で変わることもあります。
適用を受けるための主な要件
誰でも使える特例ではなく、家屋や売却方法についていくつかの要件が定められています。国税庁の特例要件によると、主な条件は次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準の建物が対象)
- 区分所有建物(マンションなど)ではないこと
- 相続開始の直前まで、被相続人が一人で住んでいたこと(一定の要件を満たせば老人ホーム等への入所後も対象になる場合があります)
- 売却代金が1億円以下であること
- 譲渡時点で耐震基準を満たしているか、家屋を取り壊して更地として売ること
「耐震基準を満たすか、取り壊すか」という条件があるため、昭和56年5月31日以前に建てられた木造家屋では、そのまま売るより取り壊してから売却する、あるいは耐震改修を行うケースが多く見られます。
適用期限はいつまで?
この特例には2つの期限があるため、どちらも確認しておく必要があります。
1つ目は制度そのものの適用期限で、令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象です。2つ目は個々の相続案件ごとの売却期限で、「相続開始のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却する必要があります。つまり相続してから時間が経つほど選べる時期が限られてくるため、売却を検討し始めた段階で早めにスケジュールを確認しておくと安心です。
2024年1月以後の譲渡で変わった2つのポイント
この特例は制度改正が行われており、2024年1月1日以後の譲渡からは次の2点が変わっています。売却のタイミングによって条件が異なるため、該当する方は注意してください。
1. 相続人が3人以上の場合、控除上限が縮小
相続人が2人以下であれば、これまで通り1人あたり最大3,000万円の控除が受けられます。一方、相続人が3人以上いる場合は、1人あたりの控除上限が3,000万円から2,000万円に縮小されました。相続人の人数によって控除額が変わる点は見落としやすいので、複数人で相続した場合は早めに確認しておきましょう。
2. 買主側の耐震改修・取り壊しでも適用対象に
以前は売主があらかじめ家屋を取り壊すか耐震改修を済ませておく必要がありましたが、2024年1月1日以後の譲渡からは、買主が譲渡後に耐震改修または取り壊しを行った場合も特例の対象になりました。これにより、売主が売却前に取り壊し費用を負担する必要がないケースが増えています。
売却までの空き家をどう維持するか
特例を使えるかどうかとは別に、売却が決まるまでの間、空き家をどう管理しておくかも大切なポイントです。人が住まなくなった家は湿気がこもりやすく、害虫が発生しやすい状態になりがちで、内覧時の印象や資産価値にも影響します。管理が行き届かないまま放置すると、固定資産税が上がる「管理不全空家」の対象になってしまう場合もあるため注意が必要です(この仕組みについては空き家の固定資産税が6倍に?管理不全空家の勧告対象になる前にやるべきことで詳しく解説しています)。
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要件のひとつである「耐震基準を満たすか、取り壊して売るか」の判断に迷う場合、取り壊し費用の目安を先に把握しておくと検討しやすくなります。解体費用の相場については空き家の解体費用相場はいくら?で紹介しているので、あわせて確認してみてください。取り壊しを具体的に検討する段階になったら、複数社から見積もりを取って比較するのが基本です。
相続手続き・必要書類も早めに整理しておく
特例の適用を受けるには、譲渡した年の翌年に確定申告が必要で、戸籍謄本や譲渡所得の内訳書、家屋が要件を満たすことを示す書類など、複数の書類をそろえる必要があります。相続の手続きは他にも遺産分割協議や名義変更など並行して進めることが多く、必要書類がどこにあるか分からなくなってしまう、という声もよく聞かれます。
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実家をどう扱うか迷っている段階であれば、賃貸に出す・古民家カフェとして活用するといった選択肢もあります。売却以外の道も含めて比較したい方は空き家を貸すといくら稼げる?賃貸・古民家カフェの収益シミュレーションも参考にしてみてください。
よくある質問
Q. 空き家を取り壊さずに売っても控除は使えますか?
A. 譲渡時点で耐震基準を満たしていれば、取り壊さずに売却しても特例の対象になります。ただし昭和56年5月31日以前に建てられた木造家屋では耐震基準を満たしていないことも多く、その場合は取り壊すか耐震改修を行う必要があります。2024年1月以後の譲渡であれば、買主が譲渡後に耐震改修・取り壊しを行った場合も対象になります。
Q. 相続人が複数いる場合、全員が控除を受けられますか?
A. 要件を満たせば、共有で相続した各相続人がそれぞれ控除を受けられます。ただし2024年1月以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合、1人あたりの控除上限が2,000万円に縮小される点に注意してください。相続人が2人以下であれば、1人最大3,000万円のままです。
Q. 被相続人が老人ホームに入所していた場合は対象外になりますか?
A. 老人ホーム等への入所に関する一定の要件を満たしていれば、入所後も「被相続人の居住用財産」として特例の対象になる場合があります。個別の事情によって判断が分かれるため、税務署や税理士に確認しておくと安心です。
Q. 適用を受けるのに確定申告は必要ですか?
A. 必要です。特例の適用を受けるには、譲渡した年の翌年に確定申告を行い、必要な書類を添付する必要があります。
まとめ
相続した空き家を売却する際は、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を使えるかどうかで税負担が大きく変わります。昭和56年5月31日以前の建築であること、売却代金1億円以下であること、耐震基準を満たすか取り壊して売ることなど、要件を一つずつ確認しておきましょう。適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡、かつ相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が条件です。2024年以降は相続人の人数や買主側の対応によって扱いが変わる点も含めて、早めに専門家へ相談しながら準備を進めることをおすすめします。空き家全般の基礎知識は古民家・空き家に関するまとめ記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。
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