「特定空家に指定します」という通知が届くと、この先どうなるのか不安になりますよね。管理不全空家の段階でできる対策はこちらの記事にまとめましたが、今回はその一歩先、すでに特定空家に指定されたあとの話です。勧告・命令・行政代執行という行政処分がどう進み、放置するとどれくらいの負担になるのかを、根拠法である空家等対策の推進に関する特別措置法の内容に沿って整理します。
この記事でわかること
- 特定空家に指定された後に進む4段階(助言・指導→勧告→命令→行政代執行)
- 勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れる仕組み(概要)
- 命令に従わない場合の過料50万円以下(2023年法改正)
- 行政代執行になった場合の費用相場と、費用が誰に請求されるか
- 特定空家にしないために今からできる対策
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特定空家とは?根拠法と指定の位置づけ
特定空家は、2015年5月に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、市区町村が指定する空家です。「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」「著しく景観を損なっている状態」「周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」のいずれかに該当すると判断された空家が対象になります。管理不全空家の段階で改善が進まなかった場合に、この特定空家へと引き上げられる流れが一般的です。すでに通知や現地調査の案内が来ている場合は、次章で説明する行政処分の段階のどこにいるのかをまず確認することが、対応の第一歩になります。
特定空家指定後に進む4つの段階
特定空家に指定されたあとの行政処分は、①助言・指導、②勧告、③命令、④行政代執行の4段階で進むと定められています。それぞれの段階で所有者が改善に着手すれば、次の段階には進みません。放置期間が長いほど、あるいは危険性が高いと判断されるほど、段階が早く進む傾向があると言われています。
①助言・指導は、まず改善を促す行政指導の段階です。②勧告に進むと、法律上「勧告」という重い措置になり、固定資産税の住宅用地特例(更地の場合の最大6倍)が解除される点が実務上のインパクトとして大きく、詳しくはこちらの記事で解説しています。③命令は勧告よりさらに強い法的措置で、正当な理由なく従わないと次に説明する過料の対象になります。④行政代執行は、命令にも従わない場合の最終手段です。
命令に従わないとどうなる? 過料50万円の重さ
命令を受けても正当な理由なく改善しない場合、50万円以下の過料が科されます。この過料は2023年の法改正で新設・引き上げられた比較的新しいルールで、刑事罰ではありませんが、行政上のペナルティとして所有者に直接課される点は重く受け止める必要があります。
命令の段階まで進んでしまう空家は、管理が行き届いていないケースが多く、外部からの不法侵入や不法投棄のリスクも上がりやすいと言われています。遠方に住んでいて頻繁に見に行けない場合は、外まわりの状況を記録・確認できる機器を使って、改善の経過を自分でも把握しておくと安心です。
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最終手段の行政代執行 ― 費用は相続人全員に請求される
命令にも従わない場合の最終手段が行政代執行です。行政が所有者に代わって解体・除却を行い、かかった費用は所有者(所有者が亡くなっている場合は相続人全員)に全額請求されます。国土交通省や自治体の空家対策ガイドラインでは、木造一戸建て(延床100㎡程度)の行政代執行の費用目安として、おおむね100万〜300万円程度が挙げられています。自主的に解体する場合の費用相場はこちらの記事で解説していますが、行政代執行になると調査費用や事務手続きの分だけ、自主解体より割高になりがちと言われています。
請求された費用を支払わない場合は、財産の差し押さえや競売による強制徴収に進む可能性もあります。相続人が複数いる場合は全員が対象になり得るため、命令の段階までに自主的な解体や売却を検討しておくほうが、結果的に負担を抑えられるケースが多いようです。
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特定空家にしないために今からできること
特定空家への指定は、ある日突然決まるわけではなく、管理不全空家の段階から徐々に進みます。定期的な見回りと簡単な劣化対策を続けるだけでも、勧告・命令に進むリスクは下げられると言われています。空き家全般の探し方や補助金、季節ごとの管理ポイントは古民家・空き家まとめで全体像をまとめていますので、あわせて確認してみてください。すでに解体を選択肢に入れている場合は、無料の一括見積で費用感をつかんでおくのも一つの方法です。
よくある質問
Q1. 特定空家に指定されたら必ず行政代執行になりますか?
いいえ、なりません。助言・指導、勧告、命令のいずれかの段階で改善に着手すれば、次の段階には進まないとされています。放置を続けた場合に限り、最終的に行政代執行に至る可能性が高まります。
Q2. 勧告と命令は何が違うのですか?
勧告は改善を強く促す行政指導で、これを受けると固定資産税の住宅用地特例が解除されます。命令はさらに法的な強制力を持つ措置で、正当な理由なく従わないと過料の対象になる点が大きな違いです。
Q3. 相続放棄をすれば行政代執行の費用請求を避けられますか?
行政代執行の費用は相続人全員が対象になり得るため、単純に一部の相続人が放棄すれば済むとは限りません。相続や空家の処分に関わる判断は、弁護士や司法書士など専門家に早めに相談することをおすすめします。
まとめ
特定空家に指定されたあとは、助言・指導→勧告→命令→行政代執行という4段階で行政処分が進み、各段階で改善すれば先には進みません。命令に従わないと50万円以下の過料、それでも改善しなければ行政代執行となり、木造一戸建てで100万〜300万円程度の費用が所有者・相続人に全額請求されます。負担を最小限に抑えるには、早い段階での見回りや簡単な劣化対策、そして必要であれば自主的な解体の検討が現実的な選択肢になります。
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