空き家の水道 凍結防止は水抜きか通電か【2026年冬】月1回しか行けない家の手順

空き家の水道 凍結防止は水抜きか通電か【2026年冬】月1回しか行けない家の手順

盛岡の1月は、日最低気温の平年値が−5.2℃です(気象庁「盛岡 平年値(月ごとの値)」1991〜2020年)。12月でも−2.5℃、2月は−4.8℃。人が住んでいれば毎日お湯を使い、暖房も入るので配管の水は動き続けます。ところが空き家は違います。誰も蛇口をひねらない家の水道管は、外気温がそのまま水温になります。

実家が空き家になっていて、行けるのは月に1回。次に行くのは来月の第3日曜。その30日のあいだに寒波が来たら、水道管は自力では守れません。運営者も地方の実家が数年のうちに空き家になる見込みで、この冬をどう越させるかを当事者として調べています。

この記事でわかること

月1回しか行けない空き家の水道は、止水栓を閉めて水を抜き切る「水抜き」が原則です。凍結防止帯に通電し続ける方法は、配管10m(150W)を1日12時間動かした場合に11月〜3月で電気代が約8,400円(31円/kWh換算)かかるうえ、停電やブレーカー遮断で無防備になります。11月のうちに1度水抜きをして3月まで通水しない運用なら、追加費用はほぼ0円です。

  • 水抜きを始める合図は外気温マイナス4℃(札幌市水道局)
  • 「水抜き」と「通電しっぱなし」を費用と手間で比べた結論
  • 凍結防止帯の電気代を配管の長さ別に計算した表
  • 止水栓→給湯器→蛇口→トイレ→洗濯機用水栓の正しい順番
  • 凍結破損による漏水は水道料金の減免対象外という自治体の扱い
  • 火災保険の水濡れ補償で出るもの・出ないもの
  • 11月から3月までの月別チェックリスト

対策を始める合図はマイナス4℃

「何度になったら危ないのか」がわからないまま冬を迎えるのが、いちばん不安ですよね。ここには自治体が示している目安があります。

札幌市水道局は、水道が凍結しやすい条件として「外気温がマイナス4℃以下になるとき」を挙げ、あわせて「おやすみ前や、旅行などで家を留守にするなど、長時間水道を使用しないとき」を危険な場面としています(札幌市水道局「水道の凍結について」)。空き家は、この2つの条件を冬じゅう同時に満たし続ける建物です。

先ほどの盛岡の平年値に当てはめてみます。日最低気温の平均が氷点下になるのは12月・1月・2月の3か月。ただし平年値は「平均」なので、11月下旬や3月上旬にもマイナス4℃を下回る日は出ます。対策のスイッチを入れる時期は、平均が0℃を割る月ではなく、その1か月前と考えるのが安全です。

目安の立て方:気象庁の平年値ページで実家の最寄り地点を開き、日最低気温の平均が3℃を下回る最初の月を探してください。その月の初めが、空き家の冬支度を終わらせておく期限になります。

給湯器メーカー側の基準はもう少し高い温度です。リンナイは、機器周辺の温度が約3℃以下になると凍結予防装置が自動で動き出すと説明しています(リンナイ「給湯器の凍結について」)。つまり配管が凍る前に、給湯器のほうが先に自衛を始める設計になっているわけです。裏を返すと、この装置が働かない状態にしてしまうと給湯器から先に壊れます。

水抜きと通電、費用で比べる

空き家の水道凍結防止には、大きく2つのルートしかありません。どちらが正解かは、家に行ける頻度と電気契約の状態で決まります。

比較項目 A:水抜き(通水を止める) B:通電(凍結防止帯を使う)
冬季の追加費用 0円(水道を使用中止にすれば基本料金も止まる) 電気代1,200〜16,800円+電気の基本料金+機器代
初期費用 0円(不凍液を使う場合のみ数百円) ヒーター2,000〜20,000円+保温材
冬のあいだの手間 11月に1回、3月に1回の作業だけ 通電しているかを訪問のたびに確認
停電・ブレーカー遮断 影響なし(管の中が空) その時点で無防備。気づけない
冬に水が使えるか 使えない(毎回通水作業が必要) 使える
向いている家 月1回以下の訪問。冬は水を使わない 週末に泊まる。売却内覧の予定がある

月に1回しか行けないなら、選ぶべきはAです。理由は費用ではなく「気づけないこと」にあります。Bのルートは、ブレーカーが落ちた瞬間からただの水の入った管に戻ります。しかも次に誰かが家に入るのは30日後。そのあいだに凍結し、破裂し、解けて水が出続けても、止める人がいません。

注意:通電ルートを選ぶなら、給湯器の電源プラグを抜いてはいけません。リンナイは「電源プラグがコンセントに差し込まれていることを確認してください。抜けているとヒータ・ポンプとも作動しません」と明記しています。節電のつもりでプラグを抜くと、凍結予防装置ごと止まります。

凍結防止帯の電気代を計算する

「通電しっぱなしだと電気代がすごいことになるのでは」という不安は、実際に計算してみると輪郭がはっきりします。

まず消費電力です。八光電機の水道凍結防止帯D型は、1mの型式(D-1)が15W、10mの型式(D-10)が150Wと公開されており、1mあたり15Wで揃っています。サーモスタットは約3℃以下で通電を開始し、約10℃を超えると通電を停止します(八光電機「水道凍結防止用ヒーター」仕様表)。24時間ずっと電気を食うわけではなく、寒い時間帯だけ入る仕組みです。

次に単価です。公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会は、電気代表示に使う目安単価を「令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)」としています(全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問Q&A」)。この31円で、11月1日から3月31日までの151日分を出したのが次の表です。

配管の長さ(消費電力) 1日6時間通電 1日12時間通電 24時間連続
3m(45W) 約1,260円 約2,530円 約5,060円
6m(90W) 約2,530円 約5,060円 約10,110円
10m(150W) 約4,210円 約8,430円 約16,850円

計算式は「消費電力(kW)×通電時間×151日×31円」です。10mを1日12時間で 0.15×12×151×31 = 約8,430円。これに電気の基本料金が乗ります。空き家で電気を止めている家なら、凍結防止帯のためだけに契約を生かす費用も加算されることになります。

なお、自己温度制御タイプは定格が低めです。日本電熱の水道凍結防止帯GMタイプは10mの型式(GM-10)が100V-80Wで、1mあたり8W(日本電熱「水道凍結防止帯GMタイプ」仕様)。同じ10mでもニクロム線式の約半分です。通電ルートを選ぶなら、ここで機種を間違えると年1万円単位で差が出ます。

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TOTOKU 凍結防止ヒーター 2m NFオートヒーター2ES 自己温度制御(S.S.N)

自己温度制御タイプなので、上の表のニクロム線式より1mあたりの消費電力が抑えられます。金属管だけでなく樹脂管や給湯器まわりにも使える点が、管種の分からない古い家では効いてきます。露出配管が短く、洗面台の下や屋外の立ち上がりだけを守りたい人向け。執筆時点 ¥2,520(変動あり)。

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電熱産業 パイロットランプ付き 水道凍結防止ヒーター PLD-1.5

電熱産業 パイロットランプ付き 水道凍結防止ヒーター PLD-1.5(S.S.N)

長さ1.5mで100V-22.5W、つまり1mあたり15Wの標準的なニクロム線式です。他機種との違いはパイロットランプで、通電しているかどうかが目で見て分かります。月1回しか行けない空き家では「生きているか死んでいるか」を毎回確認できることが最大の価値になります。執筆時点 ¥5,260(変動あり)。

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水抜きルートを選んだ場合でも、屋外に露出した配管の保温はしておいて損がありません。外気に直接さらされる立ち上がり部分は、再通水した3月以降の遅い寒波でもっとも凍りやすい場所だからです。

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水道管 凍結防止 保温材 20mm 10本セット アルミシート付き

水道管 凍結防止 保温材 20mm 10本セット アルミシート付き 自己粘着タイプ(AITO)

切り込みが入っていて配管にかぶせるだけ、自己粘着で留まるタイプです。テープを何周も巻くタイプとの違いは作業時間で、脚立の上や床下の狭い場所でも短時間で終わります。10本セットなので屋外の散水栓と給湯器まわりをまとめて処理したい人に向きます。執筆時点 ¥3,990(変動あり)。

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選べる4サイズ 撥水 水道 凍結防止 蛇口カバー

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屋外の立水栓や散水栓の蛇口本体にかぶせる袋型のカバーです。保温材との違いは対象部位で、こちらは管ではなく蛇口そのもの。ハンドルやスピンドルは保温材が巻けず、屋外でいちばん先に凍る場所なので、庭に立水栓がある家では併用する価値があります。執筆時点 ¥1,430(変動あり)。

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楽天市場では毎月5と0のつく日にポイント倍率が上がります(エントリーが必要)。凍結防止帯と保温材は寒波が来てから一斉に品薄になるため、11月のうちに揃えておくほうが選択肢が残ります。

水抜きは順番を間違えると残る

水抜きは「止水栓を閉めればおしまい」ではありません。札幌市水道局は、水抜き栓のハンドルを右に止まるまで回したうえで蛇口をいっぱいに開け、「水が完全に出なくなったのを確認してから」各蛇口を閉めるよう手順を示しています(札幌市水道局「水道を凍結させないためには」)。ハンドルの開け閉めが不完全だと水が残り、それが凍結や破裂の原因になるとも書かれています。

空き家で1シーズン放置する前提なら、次の順番でやり切ってください。上から順に、水が下流へ落ちていく流れになっています。

順番 場所 やること 見落としやすい点
1 止水栓・水抜き栓 メーターボックス内の止水栓を閉める。水抜き栓があればハンドルを右へ止まるまで回す 途中で止めると水が残る。「止まるまで」が条件
2 給湯器 運転スイッチを切る→ガス栓を閉める→給水元栓を閉める→給湯栓をすべて開ける→給水・給湯の水抜き栓を外す 次に使うまで水抜き栓は開けたままにする
3 台所・洗面・浴室の蛇口 すべて全開にする。混合水栓は水側と湯側の両方 シャワーヘッドは下に垂らしてホース内の水も落とす
4 トイレ レバーで流してタンクを空にする。便器に残る封水は不凍液に置き換える 封水を抜くだけだと下水の臭気が上がってくる
5 洗濯機用水栓 水栓を閉めてホースを外し、ホースと水栓の内部の水を出す 屋外や勝手口に設置された水栓は忘れやすい
6 屋外の散水栓・立水栓 ホースを外して水を抜く。蛇口カバーをかぶせる ホースの中に残った水が立水栓側へ戻ることがある
7 仕上げ 水が完全に出なくなったのを確認してから各蛇口を閉める 確認せずに閉めると管内に水が残ったまま封じ込める

給湯器の手順2は、リンナイが示している水抜きの順番そのものです。同社は「外気温が極端に低く(−15℃以下)なる場合」や長期不在で電源プラグを抜く場合に機器内の水を抜くよう案内し、水抜きは給湯側→風呂側の順に行うとしています。作業後は「次にお使いになるまで給湯栓や水抜き栓は開けたままに」という指示も出ています。

注意:給湯器の型番ごとに水抜き栓の位置と数が違います。作業前に本体に貼られた品名(型番)を写真に撮り、メーカー公式の取扱説明書ページで自分の機種の図を確認してください。ふろ配管付きの機種は、給湯側を抜いただけでは浴槽側に水が残ります。

もうひとつ、冬のあいだ水を一切使わないと決めたなら、水道の使用中止(閉栓)手続きも選択肢に入ります。名取市水道事業所は、空き家について使用中止手続きまたは水抜き栓の活用を呼びかけています(名取市「空き家・空き部屋をお持ちの方、冬季に長期間留守をされる方へ」)。閉栓すれば基本料金の負担も止まり、万一の漏水も物理的に起きません。手続きと再開の可否は水道事業者ごとに違うので、実家の自治体の水道局に直接聞くのが早道です。

建物全体の冬支度と合わせて考えたい人は、古民家の冬支度、隙間風はどこから?今すぐできるDIY断熱対策まとめもあわせてどうぞ。床下の冷気を止めることは、そのまま配管の凍結対策にもなります。

破裂したら誰がいくら払うか

「もし破裂したらどうなるのか」を先に知っておくと、11月の1日を空けてでも水抜きに行く気になります。

最初に効いてくるのが水道料金です。日高市は、凍結により破損が生じた漏水について「長期にわたって流出している状態になり、水道料金等に反映される」と注意を出しています(日高市「空き家・空き部屋をお持ちの人、冬季に長期間家を留守にする人へ」)。人がいない家では、漏れ始めてから気づくまでが最長で次の訪問日までです。

そして減免が使えません。名取市は「凍破による漏水は減免の対象になりません」と明記しています。自治体の漏水減免制度は、地中の見えない箇所での自然漏水などを想定した仕組みで、凍結による破損はそこから外れる扱いになっているわけです。減免の可否は水道事業者ごとに条例で決まるので、実家の自治体の規定を一度読んでおいてください。

次が建物の被害です。水道管の破裂は、解けたあとに水が出続けます。2階の配管なら階下の天井・壁・床が濡れ、木造なら仕上げ材の張り替えだけでは済みません。集合住宅や長屋なら隣戸にも及びます。

ここで多くの人が「火災保険で出るだろう」と考えます。実際には条件付きです。東京海上日動火災保険は、給排水設備の事故による水濡れ損害について「『盗難・水濡れ等リスク』を補償するタイプをご契約の場合、補償の対象となります」としたうえで、「給排水設備自体の損害は補償の対象外となります」と回答しています(東京海上日動 よくあるご質問)。つまり濡れた床や壁は出る可能性があるが、割れた配管そのものの修理代は出ない、という構造です。

保険証券で確認する4点

  1. 水濡れ(給排水設備の事故)が補償範囲に入っているか
  2. 配管そのものの修理費を出す特約が付いているか
  3. 人が住んでいない建物が契約上どう扱われるか(住宅物件のままか)
  4. 免責金額(自己負担額)がいくらか

3番目は空き家に特有の論点です。居住実態がなくなると契約区分や引受条件が変わることがあるため、空き家になった時点で保険会社か代理店に申告し、現在の契約でその冬の水濡れが対象になるのかを文書で確認しておくのが確実です。空き家の維持そのものを外部に任せる選択肢は、空き家の管理はプロに任せられる?『空家等管理活用支援法人』と管理代行サービスの相場・選び方で整理しています。

11月から3月の月別チェック

ここまでの内容を、訪問1回ごとにやることへ落とし込みます。訪問が月1回でも回る形にしてあります。

時期 その訪問でやること
10月中 気象庁の平年値で最寄り地点を確認し、水抜きルートか通電ルートかを決める。保温材・蛇口カバー・(通電なら)凍結防止帯を注文する
11月 水抜きルート:上の7ステップを実施し、そのまま3月まで開けない。通電ルート:凍結防止帯を巻いて保温材をかぶせ、通電を確認。屋外の露出配管と蛇口を処理する
12月 水道メーターのパイロットが動いていないかを見る(動いていれば屋内で水が流れている=漏水)。通電ルートはパイロットランプとブレーカーを確認
1月 最低気温が底を打つ月。訪問時にメーターと床下・天井のシミを点検。給湯器の電源プラグが抜けていないか(通電ルート)
2月 同じ点検を繰り返す。あわせて火災保険証券の水濡れ補償と免責金額を読み直す
3月 最低気温の平年値がプラスに戻ってから通水を再開する。各蛇口を閉めてから元栓をゆっくり開け、通水後に漏れがないか全箇所を目視する

通水の再開手順も札幌市水道局が示しています。各蛇口が閉まっていることを確認してからハンドルを左に止まるまで回し、蛇口をゆっくり開ける。この順番を守らないと、水撃で継手が抜けることがあります。再開日は、盛岡のように3月の日最低気温の平年値がまだ−1.8℃という地点なら、3月下旬以降が無難です。

空き家全般の管理で何から手を付けるかを一覧で見たい場合は、古民家・空き家まとめ|空き家探し・補助金・冬支度・移住のリアルから入ると全体像がつかめます。


この冬、先に決めておくこと

決めることは実質ひとつです。冬のあいだ、その家で水を使うか使わないか。使わないなら11月に水抜きを1回やって3月まで触らない。これで電気代も基本料金もかかりません。使うなら凍結防止帯に通電し、訪問のたびにランプとブレーカーを見る。電気代は配管10mで11月〜3月に約8,430円(1日12時間・31円/kWh換算)です。

迷ったまま何もしないのが最悪の選択肢になります。凍結破損による漏水は水道料金の減免対象から外れ、壊れた配管の修理費は火災保険の水濡れ補償でも出ません。今週やることは3つ。実家の最寄り地点の平年値を見る、給湯器の型番を写真に撮る、保険証券の水濡れ補償を確認する。どれも家に行かずにできます。

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